


これは私の偏見かもしれない。
でも18年、韓国ドラマを見続けてきて、ずっとそう感じていることがある。
歌手でも女優でも——「少し影がある存在」の方が、作品がヒットする。
IUはまさにそのひとりだ。
裕福な生まれではなかった。幼少期は生活が苦しく、苦労したという話を聞いたことがある。
「マイ・ディア・ミスター」でジアンを演じたとき、彼女が身にまとっていたあの重さは、演技だけじゃないと感じた。
生きてきた黒く苦しい部分が、そのままスクリーンに滲み出ていたのではないか。
「麗〈レイ〉」の悲恋も、IUの少し悲しげな空気感がぴったりはまっていた。
でも今回の「21世紀の大君夫人」は違う。婚外子という過去を抱えながら、会社を切り盛りするキャリア女性——
今までのIUとは全く違う役柄だ。鼻っ柱が強いけど、本当は細やかで優しい。
その姿が「愛の不時着」でソン・イェジンが演じたセリに重なって、思いのほか魅力的だった。
影を持つ女優が、陽の役柄に挑戦するとき——それが今のIUの最大の見どころだと思っている。
IUは女優である前に、韓国を代表する歌姫でもある。
明るい曲もある。でも彼女の代表曲として必ず名前が挙がるのは、しっとりとした影のある楽曲たちだ。
アコースティックギターと囁くようなボーカルだけで進む「Through the Night」。
IU本人が「自分が死んで忘れられていくころに代表曲と言ってもらえたらうれしい」と語るほど大切にしている「Knees」。
優しくも切ないメロディに大切な人を支えたい想いを込めた「Love Poem」。
静かな入りからサビに向けて感情がふくらんでいく「Dear Name」。
「自分が嫌いになりそうなときに聴きたい曲」として紹介されることが多いピアノバラード「My sea」。
子守歌のような穏やかさと切なさが同居する「Winter Sleep」。
これらの楽曲に共通するのは、派手さではなく、静かな深さだ。
女優としてのIUが「目線と沈黙で感情を伝える」のと同じように、歌手としてのIUも「囁くような声と余白で心に届ける」。
その根っこにあるものは同じではないかと思っている。
影があるから、深いところまで届く。それがIUという表現者の本質だと思う。
【Through the Night】
【Knees】

「IUの影が、そのままスクリーンに滲み出た作品」
会社でも家庭でも重荷を背負いながら真面目に生きる中年男性と、借金と貧困の中であえぎながら生きる若い女性——
派手な展開はない。それなのに、見終わったあと静かに涙が流れる。
この作品でIUが演じたジアンは、IU自身の影と重なって見えた。
裕福ではなかった幼少期、苦労して這い上がってきた人生——
それがそのままジアンという人物に滲み出ていたのではないかと思っている。
「また生まれてきても私はもう大丈夫です。」
このセリフを、IU以外の誰かが言えただろうか。私にはそう思えない。

「明るさと影の対比が、IUにしかできない表現だった」
タイムスリップしてきた現代女性ヘ・スが、高麗時代の宮廷で8人の皇子たちに愛される——前半は、IUのかわいらしさが満開だ。
知性と品格と優しさを兼ね備えた第8皇子ワン・ウクをはじめ、個性豊かな皇子たちに思いを寄せられながら、明るく無邪気にふるまうヘ・スの姿は、まさにシンデレラストーリーだ。
でも物語が進むにつれて、空気が変わっていく。
心に傷を抱えた孤高の第4皇子ワン・ソ(イ・ジュンギ)に次第に心惹かれていくヘ・ス。
彼の傷を思いやるとき、IUの目線が変わる。
声のトーンが変わる。表情が変わる。
その繊細な変化は、IUならではの表現だと思っている。
後半、権力争いと愛する人の奪い合いの中で、明るい物語が重く変容していく——
その移り変わりをIUは声のトーンと表情だけで表現しきった。
「少し影がある存在」だからこそ、この役の後半を演じられたのだと思う。

「赦しと未練の解消——IUの影が1000年分の重さを纏った」
正直に言う。全話じっくりとは見ていない。
でもざっくり見ただけでも、このドラマの根底に流れるテーマは伝わってきた。
「赦し」と「未練の解消」だ。
ホテルに来る幽霊たちは、憎しみや後悔、心残りを抱えたまま死んだ存在。
その未練をほどいて、やっとあの世へ行ける——そのプロセスが毎話描かれる。
そしてIUが演じるマンウォル自身も、千年以上憎しみに囚われてきた存在だ。
他人の未練を見送りながら、最後は自分の罪と恨みを手放していく。
この役もまた、IUの「影」が活きる役だと思った。
豪華なホテルのセット、IUの衣装の美しさも目を引くが、最終回のヨ・ジング演じるク・チャンソンとの別れのシーンは涙が止まらなかった。
千年の呪縛を解いてやっと旅立てる——その切なさと解放感が、IUの表情に全部込められていた。

「IUがまたひとつ、深いところへ行った作品」
正直に言う。この作品はまだ見れていない。
でも調べれば調べるほど、見なければという気持ちが強くなった。
Filmarksでレビュー数1万件超・平均★4.4、IMDbで10点中9.3点という韓国ドラマとしては異例の高評価。
韓国ギャラップの「最近もっともよく見た番組」調査で3カ月連続1位。
「これまで見た韓ドラの中でNo.1」「全話見終えても余韻がすごい」という声が溢れている。
済州島を舞台に、差別と貧しさの中を生き抜く三世代の女性たちの物語。
IUが演じるエスンは、何度倒れても立ち上がる女性の一生を体現した役だという。
「マイ・ディア・ミスター」「ホテルデルーナ」に続き、またひとつ人生代表作が増えたという評価が多い。
パク・ボゴムとのケミも話題で、「この2人がこんなにお似合いだとは思わなかった」という声が多数。
青春時代の甘酸っぱさと時代の重さが混ざったリアルな恋が、家族愛・夫婦愛へと変化していく——そんな長い時間軸のドラマらしい。
「影がある女優」IUが、また一段深いところへ行った作品として、GWに必ず見たいと思っている。

「影を持つ女優が、陽の役柄に挑戦する——今が一番面白い」
今まさに放送中の作品だ。
IUがほぼ初挑戦となる王道ラブコメ——最初は「どうかな?」と思っていた。
「影がある女優」IUが、明るいラブコメで輝けるのかと。
でも見始めてすぐに引き込まれた。
婚外子というコンプレックスを抱えながら、財閥家の次女として鼻っ柱強く生きるヒジュ。
鼻っ柱が強く傲慢で強気な部分と、時折見せる細やかな気づきや優しさ——
それをオーバーアクションではなく、微妙な表情や声のトーンで表現するあたりがIUならではだ。
「愛の不時着」でソン・イェジンが演じたセリに重なって見えた。
名ばかりの大君として孤独に生きるイアン(ビョン・ウソク)は、王子様プリが板についてかっこいいの一言だ。
お互いの利害のために近づく2人が、徐々に好意を抱いていく過程が絶妙に描かれている。
3話・4話とますます面白くなってきた。続きが見たくて仕方がない。
「少し影がある存在の方が、作品がヒットする」——
これが18年韓国ドラマを見てきた私の正直な感想だ。
IUはまさにそのひとりだった。
マイ・ディア・ミスターのジアン、麗のヘ・ス、ホテルデルーナのマンウォル——
どの役も、IUの影が滲み出ていた。セリフではなく、目線で。
声ではなく、沈黙で。感情を積み上げていく彼女の演技は、見ている側の心をじわっと動かす。
そして今、21世紀の大君夫人で新しいIUを見ている。
影を持ちながら、陽の役柄に挑戦するIU——その変化が今一番面白い。
IUの出演作はU-NEXTで多く配信されています。
まだ見ていない作品があれば、GWにじっくり見てみてください。
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